膝のこぶには
小鬼が棲んでいて
はたちの誕生日に
こぶを切り開いて
出てきたの。
こんにちは
10年間お世話になりました
膝の中はとっても
ぽかぽかだったよ
僕は今から旅にでます。
空き家になった
小鬼の棲家は整地して
平らになったけど
ぽつりぽつりと
絵はがきが届く。
僕はいま失踪マニュアルを追いかけて
古本屋を廻っているよ
それはどんどん
南下しているらしいんだ
もうすぐ鹿児島です。
私は大人になって
結婚して子供ができて
ときどき膝がかゆいけど
小鬼のことは秘密にしてた
娘の膝に戻っておいで。
※これはフィクションです。実在の人物団体場所とは一切関係ありません。