2009/06/15

左目の魔法

私の小さな娼婦が
右膝を撃ちぬいた
祝祭日は凪に包まれて
杖音は霧の中に響くだろう。

お前には見えるか?
亜麻粒の打擲ははげしく
辺りを燃え上がらせる
全ての断片たちが
渦柱を昇ってゆく。

褥に仰向いた
その左目をのぞけば
過実の香りに呼び戻されて
谺は消えてゆくだろう。


※これはフィクションです。実在の人物団体場所とは一切関係ありません。