2011/05/12

一枚の画用紙

描いては消し
描いては消し
一枚の紙と
向き合って
どのくらいの時間を
費やしただろうか

あの時
陽だまりの中で
踊っていた水彩筆は
一本また一本と
姿を消した

あの時
母の膝の上で
小さな手に握られていた
緑色の2Bの鉛筆は
使い果てた

描いては消し
描いては消し
何枚の紙を
費やそうと
その理想像は
永遠に手に入らないだろうか。


※これはフィクションです。実在の人物団体場所とは一切関係ありません。